でも・どりーまん

30代後半(blog開始時)の子会社サラリーマンのブログです。日々の思い出から仕事のことまで。なんだかんだで化粧品OEM業に戻ってきたので制度とか業界事情、景気も含めて駄弁ります

ジョンマスターオーガニックの事件から考える中身の保証

小林化工のニュースで思い出すジョンマスターオーガニック回収事件

この前ニュースになっていた小林化工のGMP逸脱事件をきいていて、過去に化粧品業界をにぎわせたジョンマスターオーガニックの事件を思い出しました。医薬品のほうが、人の生命に関わることであり深刻なことでもあるため、比べるレベルが違うという方もいらっしゃると思います。ただ、購入者・利用者が求めている・期待しているものと異なるもとを意図的に提供していたという詐欺まがいの行為には違いないと筆者は捉えています。

 

医薬品には外部監査があるが、化粧品にはない

以下、参照にはなりますが、天然由来成分を入れていると謳っておきながら、結局は合成成分を入れていたり、入れているはずの成分すら入っていなかったりと大変ずさんな製造管理をしていた事件が、ジョンマスターオーガニックの事件です。化粧品は、医薬品とは異なり、基本的には自主基準です。端的な例で言えば、原料の品質管理・保管管理や製造方法の手順なんかも、製造責任を担っている法人の判断で決定してすすめることができます。センシティブな成分を原料会社さんから買って、自社製造工場の倉庫で保管する場合に、適当に冷暗所でいいやー としても、 厳密に10~20度で保管しようとするのかも製造責任者次第ということですね。(謳っていることと嘘偽りがあることは論外ですが!)

 

ジョンマスターオーガニックの件、筆者は内部告発だと思っています。化粧品製造時に使用する原料が合成なのか天然なのか、ラベルと合致しているのかしていないのか二対は、外部から見られることはありません。医薬品の場合は、GMP監査と言うシステムが有り、各都道府県や国の医薬を担当されている人が定期的(数年に1回程度)でチェックし、製造の記録も開示しなければならないので、そのへんは外のチェックが入るのでまだ安心ですね。(それすらも欺いていたのが小林化工ですが笑)そのような事情から、内部の方が良心の呵責に耐えかねて告発し回収となったのだと推測しています。

そんな人すらいなかったらまだバレてはなかったのでしょうが。

toyokeizai.net

 

このような事件があっても、化粧品の製造・品質管理に対する外部監査のシステムは公的にはございません。自主的に導入されている素晴らしいOEM様やブランドオーナー様もいらっしゃるので、それらは非常に素晴らしい取り組みだと思います。私が製造をお願いしている大阪のM社様もその一社です。

 

合成成分だったものを天然で代替した成分の台頭

かつて合成だった成分の多くが技術の進歩とともに、植物で作られるようになってきました。界面活性剤やシリコン代替、ビーズ代替なんかがメジャーかと思います。私が懸念するのはそれら植物で代替したもののクオリティが上がり過ぎで(いいことなんですが笑)、合成と見分けがつかないことです。製造に携わっている工場の人や原料やさんは、目と鼻で合成由来か天然由来かが判別できるそうなのですが、私みたいなOEM営業レベルや一般の方はもう判別できないと思います。

そのようなクオリティの変化もあり、正直、最終製品にいままで植物由来のものを使っていたのを、コロナで苦しいから、安い合成品に変えてもばれないだろう・変えちゃおうぜ!という考えに及ぶケースもあるのではないかな~と不安を感じています。

実際、合成由来の成分と天然由来の成分だと、現状合成のほうが高いです。原料単価で、kgで1割程度しか変わらないものから、倍以上値段が違うものまでピンきりです。配合量なんかによっては、結構最終製品に占める原価率が変わってきます。まぁ容器の割合も大概ですが 笑

容器もそうですが、再生プラスチックや生分解性プラスチックを使用した容器を使って最終製品を作りたいという案件が多々あります。このへんも本当に再生プラや生分解性プラ使ってるんですかね。生分解性プラとかほんとに分解するのかね。と、容器関係の懸念もあります。

 

なんにしても、化粧品は夢と希望を与える製品であらねばならんと筆者は思いますので、期待を裏切るような事件がないこと祈っています。この記事に書いたことが杞憂に終わりますように!!!!

 

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